2020年8月26日

鶴岡市羽黒地域における風力発電開発計画について、私は文化的価値を守る見地から、反対の考えです。

鶴岡市羽黒地域における風力発電開発計画に
ついて、地元選出衆議員として私は
文化的価値を守る見地から、反対の考えです。


そもそも山形県がこの出羽三山(羽黒山)を
含むエリアについて、
風力発電の「適地」として公表したことに
大きな違和感を覚えます。


また、そのお墨付きの「適地」に、
民間企業が計画をつくり、
「事業候補地」としても県から公開され、
環境影響評価(アセス)に進んだこの段階になって
県のトップから「ありえない」という
意思表明がなされたことにも、
これまた大きな違和感があります。


しかも、その理由が
「環境保全の見地」からではなく、
羽黒山という地域の「歴史文化の見地」から
「ありえない」のだそうです。
そうだとするなら、そもそも、このエリアは
最初から県として適地ではなかった、
ということになります。
(そして、はい、私もそう思います。)


つまり、申し上げたいのは、
そもそも環境アセスメントに入る手前で
県がスクリーニングをかけておくべきだった
ということです。


問題は、環境アセスに一度入ってしまうと
法律上、あくまでも環境保全の観点による
評価項目のみでチェックされますので、
それらのチェック項目として問題がなければ、
プロセスは進んでしまう、ということです。


(文化的価値に関する評価項目は、
 環境アセスの枠外の話です。
 通常は自治体の条例などで規制することが
 想定されています)


そして、そのプロセスには、膨大な手間と
時間がかかり、国を含め多くの組織や人を
巻き込むとても大がかりなプロジェクトと
なります。


事業者さんも、膨大なページ数にわたる
計画書をすでに作成し、これまた膨大な
資料である環境配慮書の縦覧も始めています。


しかも、環境アセスを経て、最終的に
「ダメです」となるケースは非常に稀です。
環境アセスは、その手続を経ることで
より環境に配慮した計画へと修正されることに
主眼がおかれているからです。
(ましてや、環境保全とは別の理由で
 ストップをかけることは無理筋です。)


膨大な資料を準備作成する段階で、
県と事業者さんとの間にやりとりが
なかったとは、とても思えません。
事業者さんも、今頃びっくり仰天されている
のではないでしょうか。
「今さら、そこ?」と。


私自身、持続可能な社会のインフラとして
環境負荷の少ない「再生可能エネルギー」は
不可欠と考えていますが、
再エネ設置のために、地域の方々が
1400年の長きにわたり守ってきた
精神的価値が毀損されるとすれば、
それは、本末転倒と言わざるを得ません。


「持続可能な社会」と言ったとき、
その社会は「精神風土」をも内包します。
すなわち「精神風土」も持続可能でなければ
意味がないと、私は考えるのです。
ましてや、日本遺産にも指定されている
出羽三山です。


鬱蒼とした木々の間を抜け、忽然と現れる
五重塔の前に佇み、自分を見つめ直す。
こんな経験のある方は、山形県人に限らず
全国にいらっしゃることでしょう。


その文化的価値は、しっかりと守って
いかなければなりません。


今後県には、文化的価値を守るという
見地からの、理にかなった軌道修正を
していただきたいと思います。

.